2009年10月2日金曜日

スケート小話 By エムズ


サーフィンとスケートボードの関係、歴史は古いです。
もうすでに60年代には陸の上でサーフィン感覚、みたいな調子でいろいろなものが試されていました。当時は現在のようにトラックやウィールなども発達していなかったし、サーフィンそのものがロングボードだけの時代です。
少し前に話題になった映画、70年代のサンタモニカあたりのサーフ&スケートシーンではもう完全にクロスオーバーしていました。
80年代に入るとスケートは独自のカルチャーをブーストしていきます。当時のスケート小僧たちがみんな影響されたパウエルのボーンズ・ブリゲート。彼らはみんなランプのスケーターでもあったけど、ストリートスケートの始まりも同時に見せました。
その後のストリートスケート全盛期、そして今ではスケートもいろいろなスタイルやカルチャーへと幅を広げて発展してきています。
そんな歴史の中でよりサーフ・イメージのスケート、あるいはサーフィンのシミュレーションとしてのスケートを追求するサーファーもいました。そういった動きはなぜか盛り上がったかと思うと萎んだりを繰り返してきましたが、90年代の半ば頃のグラビティ・スケートボードの登場で1種のサーフスタイル・スケートが確立したと言っていいでしょう。
この時期はカリフォルニアでもロングボードの再興の動きがはっきりと定着した事と重なり、そういったサーフスケートは主にロングボーダーに浸透します。このグラビティやその後を追ったセクター9などは、その板の長さからロングスケートなどというカテゴリーを生みました。
それからしばらくしてカーバーというブランドがフロント・トラックにいわゆる首フリトラックを開発して採用すると、さらに一気にサーフスケートはポピュラーになりました。ターンのキッカケがとても簡単で、それまでスケートボードを上手くターンさせられなかったサーファーでもクニクニ曲げられました。一部のコア達はインチキだ、などとも言いましたが、クルマのパワステをインチキというほどのことでもありますまい。
その後はサーフスケートというとフロントトラックには首フリ、というのが定番になっているのはご存知の通り。

そんなワケでサーフィンのイメージトレーニングとしてスケートボードはいまや常識です。ですが、これだけみんな首フリ付を持っててあんまり使ってないのはなぜ?
それはまず、簡単な話、ガイドっていうかハウツーみたいなものがなさ過ぎる。波乗り本ではハウツー載っけた号に限ってよく売れる、しかもいつもおんなじような中身で代わり映えしないのにね、なんていうぼやきが聞こえたりするんだが、サーフスケートのはなぜかほとんど見かけない。
しばらく前に、イントロ・スケートボードのプロモを兼ねたハウツーDVDがリリースされて、これはとてもガイドになるのでエムズではお勧めしました。
こういうガイドを見て練習すれば分かりやすい。しかもみなさん意外と、ちゃんとした場所が必要なのでは、と思い込んでいるようだけど実際にはその辺で十分。もちろんクルマや人が少ない事が条件だけど、路面が凸凹じゃなければ普通の裏道程度で十分遊べます。

そして今エムズが強力にプッシュしているのがWaveskatesのOGモデル。これはサイトの中でもチョコチョコご紹介しているけど、今まで現れたサーフスケートのベスト、しかもぶっちぎりベストと言いたい。

まず板のシェイプがよろしい。よろしい、たってそんなに微妙なバランスまでは分からないけど、作った本人が言うんだから間違いないだろう。真面目な話は、長さ、ノーズやテールのバランス、キックも長さや上がりかた、ホイールベース、コンケーブなどなど、製作者であるアマネ君自身が何本もハンドシェイプを繰り返して出来上がったブランクスです。
そして足回り。これが超カンジン!
トラックにはパリスの150mmか180mmが選べますが。このトラックの切れ、角度・量ともに絶品です。しかもドライブが最高。なんでこんなにドライブするの!、いままでこんなトラック見たことありません。

ウィール。タイヤのことだけど、昔からスケートではウィールって言いますな。これもアマネのWaveskatesオリジナルブランドの"曲"、まがりウィールっていいます。硬さ(というより柔らかさ)、カタチ、大きさ、完璧!
ウィール内側が大きくテーパーしていることで、ただでさえ柔らかいこのウィールが、きびしいターンのピークでもたわんでスーパーグリップしてしまいます。だからサーフイメージで深い長いターンをしてもスライドせずに回りきる事ができます。
実はサーフィンのベーシックなターン・ムーブは思ったよりもジワッと大きく長い動作が大事になります。
そういうイメージをスケートでシミュレーションすると、本当はもっと長いハズのターンの動きがキュっと終わってしまったり、深く回るとウィールがスライドしたりして抜けてしまったりする事が良くありますが、こいつ、OGモデルはそれが本当に良くできていて低速でサーフィンをイメージしたムーブをすることが出来ます。
この部分は特にそれほどスケートに慣れていない、つまり大部分のサーファーにとってたいへん重要な事です。
上手なサーフスケーターは速くてクリティカルな動きを簡単にこなすのですが、スケートに慣れていないサーファーがハイスピードでターンをするということは、それだけ速い身体の動きをできなければターンのシミュレーションになりません。しかもそれだけでは実際のサーフィンのベーシックなターンの練習にはなかなかなりません。
そこで低速(とはいってもあんまりダラダラじゃだめよ)で大きく長いターンをメイクできる、このOGモデルは大きく体を預けてもドライブ感とレールコントロール感をシミュレーションできるわけです。
ちなみにサーフスケートを制覇したかのような首フリトラック、これはこれでターンのキッカケはとてもイージーなので取っ付きにはいいでしょう。一方でサーフィンのベーシックな大きくて長いターンにおける前足でのレールコントロールのイメージ、これは首フリにはまあ、ほぼありません。
前足のレールを波に入れる感じの動作をするとトラックがカクッと切れきってしまって、レールをホールドしてドライブさせる感覚がほぼスカなのです。

いやー、久しぶりに登場しました。すべてのサーファーにお勧めしたいサーフスケート。Waveskatesはまだまだマイナーですが、乗れるサーフスケーターにはすでにかなり騒がれているようです。

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